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気付いた時には間に合わない?葬儀後の相続手続きの流れ


1.葬儀後の相続手続き一覧


 人が亡くなったときは様々な相続手続きが必要となりますが、いくつかの手続きには期限があり、葬儀が終わったから落ち着けると油断していると、気が付いた時には期限を過ぎていて、余計なお金を支払わなければならなかったり、手続きが煩雑になってしまったりすることがあります。
 では相続手続きにはどのようなものがあるでしょうか。ざっと列挙するとこんな感じです。
生命保険関係手続き、国民健康保険・介護保険関係手続き、年金関係手続き、遺言書の有無の確認、相続人の調査、相続財産調査、預金口座手続き、クレジットカード手続き、自動車関連手続き、有価証券関連手続き、準確定申告、相続放棄、遺産分割協議、相続登記、遺留分減殺請求、借地・借家・賃貸住宅の名義変更手続き、相続税申告・・・等々
 全て挙げようとするときりがありませんので代表的なものに絞りましたが、それでもこれだけあります。もちろん、ここに列挙した手続き全てが必要になるわけではありませんが、その手続きが必要なのか必要ないのかを判断するのも大変かと思います。また、全てを一度に行おうとすると非常に大変ですので、それぞれの手続きの期限を正しく理解して、順序をつけて処理していく必要があります。

2.スケジュールの全体像


 特に重要な手続を期限ごとに区分けすると下記のようになります。なお、本スケジュールは遺言書がなかった場合を前提としています。
 それでは個々の手続きの詳細について説明していきます。

3.最初に行う手続き


【年金手続】

 被相続人が年金受給者であったなら、年金事務所で受給停止手続きをする必要があります。
①厚生年金→死亡後10日以内に年金事務所に連絡する必要あり
②国民年金→死亡後14日以内に年金事務所に連絡する必要あり


【保険証の返却】

 死亡から14日以内に下記の保険者証を役所に返却し、資格喪失届を提出する必要があります。
①国民健康保険被保険者証
②後期高齢者医療保険被保険者証
③介護保険被保険者証

【遺言書の有無の確認】

 こちらは特に期限があるわけではありませんが、遺言があるかないかで相続手続きが大きく変わってきますので、できるだけ早く確認した方がいいでしょう。
 代表的な遺言書の種類としては下記の2パターンがあります。


①自筆証書遺言
 自筆証書遺言は被相続人が自身で作成するタイプの遺言で、民法上の要件を満たす必要があります。自筆証書遺言は家庭裁判所での検認の手続きを経なければ相続手続きで使用することはできません。
 ご自宅や銀行の貸金庫などを調査して自筆証書遺言がないか確認しましょう。昨年の7月から法務局での保管制度が始まりましたが、詳しくは下記の記事をご確認ください。
https://www.peaks-sv.com/lowcolumn/2020/06/19/2526/


②公正証書遺言
 公正証書遺言とは、遺言者が公証人の面前で遺言の趣旨を述べて、公証人が遺言書を作成する遺言です。通常は自宅等に遺言書の謄本がありますが、被相続人が家族に知られないように謄本を保管していない可能性もありますので、公証役場の検索システムで公正証書遺言がないか確認しておいた方がいいでしょう。

4.3か月以内に行う手続き


【相続人の調査】

 こちらも特に期限があるわけでないですが、後で説明する相続放棄等をするかしないかを判断する上で誰が相続人となるかが重要になりますので、相続放棄等の期限までに行っておいた方がいいでしょう。
 ここでいう相続人とは法定相続人を指します。法定相続人とは民法上で定められている相続人のことです。詳しくは下記の記事をご確認ください。
https://www.peaks-sv.com/lowcolumn/%e7%9b%b8%e7%b6%9a/2020/03/03/16/
 法定相続人を確定させるプロセスは下記のとおりです。


①被相続人の出生から死亡までの全戸籍を収集する
 被相続人の相続人を調べるためには、被相続人の戸籍を調べて、どのような親族がいるかを調査する必要がありますが、日本の戸籍は役所の戸籍改製、婚姻、転籍などの要因で、1通で出生までの記録が全て記載されているということはほとんどありません。したがって、戸籍をさかのぼっていく必要があるわけです。

②相続権の順位を確認する
 配偶者は常に相続人になり、子→親→兄弟姉妹の順に相続権を有します。詳しくは下記の記事をご確認ください。
https://www.peaks-sv.com/lowcolumn/%e7%9b%b8%e7%b6%9a/2020/03/03/16/


【相続財産の調査】

 こちらも期限はないですが、相続放棄等の判断基準となるので、相続放棄等の期限までにおこないましょう。具体的には不動産、有価証券、預金等の財産、債務などを調査することになりますが、調査方法としては下記のとおりです。
①不動産・・・役所で名寄帳をとったり、権利証を探す
②株などの有価証券・・・証券会社からの通知書を探す
③預金・・・通帳を探すか、銀行へ残高証明を請求する
④債務・・・通帳の履歴、通知書などを確認する
⑤その他・・・自宅や銀行の貸金庫などで、借地権契約書、車検証、ゴルフ会員権など、
       財産を証する書類を探す


【相続放棄、限定承認】

 こちらはいずれも自分が相続人となる相続が開始したことを知った時点から3か月以内に、家庭裁判所に申述する方法により行わなければなりません。

①相続放棄
 自分が相続人となる相続が開始したことを知った時点から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する必要があります。相続放棄をすると、相続人はその相続に関しては最初から相続人ではないものとみなされます。そもそも相続人ではないとされるので、相続財産(債務含む)を承継するということもありません。

②限定承認
 自分が相続人となる相続が開始したことを知った時点から3か月以内に相続人全員で家庭裁判所に限定承認申述書を提出する必要があります。限定承認とは、相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば、それを相続できるという制度です。手続きの煩雑さや税制上の問題から現状はあまり利用されていません。

5.4か月以内に行う手続き

【相続人の確定】

 手続きというわけではありませんが、相続放棄、限定承認の期限を経過することによって、最終的な相続人が確定します。そして相続人が確定することにより、遺産分割が可能となります。

【準確定申告】

  被相続人が生前に事業などを行い、確定申告をしていた場合、相続人が相続が発生したことを知った日の翌日から4か月以内に準確定申告、納税をする必要があります。

6.10か月以内に行う手続き

【遺産分割協議】

 こちらは期限があるわけではありませんが、後で説明する相続税の申告のために必要となりますので、10か月以内に行った方がいいでしょう。また、相続税がかからない方でも、その他の相続手続きで遺産分割協議書が必要となることが多いので、早めに行っておくことをお勧めします。
 遺産分割協議の概要としては下記のとおりです。
①確定した相続人全員が参加し、調査した相続財産の分割方法について協議を行う
②遺言があったとしても、相続人全員が同意すれば、遺言に定められた方法と異なる方法で分割することも可能
③遺産分割は一度に全ての財産について協議する必要はなく、複数の分割協議書があってもいいが、抵触する部分は後から協議したものが優先する

【相続税の申告】

 相続税は相続人が相続が発生したことを知った日の翌日から10か月以内に申告、納税をする必要があります。被相続人が不動産を多く持っていた場合など、相続財産の規模が大きい場合、相続税が高額となり、納税資金の確保が困難となる可能性が高いため、早めの対策が必要です。

7.その他の手続き

【相続登記】

 被相続人が不動産を保有していた場合、遺言または遺産分割協議で定めた相続人に対し相続登記をする必要があります。相続登記に期限はありませんが、相続した不動産が賃貸不動産の場合は、相続登記をしないと相続人が賃料を受け取れないことが多いですし、民法の改正で相続登記を放置するリスクが高まりましたので、早めに対応した方がいいでしょう。
 なお、遺産分割協議をしていなくても法定相続分に応じた割合で相続登記をすることは可能です。

【生命保険手続】

 被相続人が被保険者の場合は、契約者または受取人から保険会社に連絡して保険金を受け取ることが可能です。保険金の受け取りは遺産分割等が不要なため、早めに手続きする人が多いですが、3年の消滅時効があるため、一応注意しましょう(消滅時効にかかっても、保険会社は時効を援用しないことが多いです)。また、被相続人が契約者または受取人の場合は、名義変更の手続きが必要となります。


【預貯金の解約】

 被相続人名義の銀行口座等の解約または名義変更を行う必要があります。遺産分割協議書がなくても、相続人全員が銀行所定の書類に署名捺印をすれば、解約に応じてくれることが多いので、銀行担当者に確認しましょう。

8.まとめ

 このように、相続の手続きは非常に多岐にわたり、内容も専門的なものが多いため、ご自身で全ての手続きを行うのは相当骨が折れると思います。特に登記手続きや税務申告は高度に専門的な知識が必要なため、専門家に任せることをお勧めいたします。

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