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給与(給料)ファクタリングはヤミ金です!


1.給与(給料)ファクタリングを知っていますか?

皆さまは給与(給料)ファクタリング(以下、「給料ファクタリング」といいます)という言葉をどこかで耳にしたことはありますでしょうか?
会社員などの個人の方が、会社に対して有する給料を受け取る権利(給料債権)をファクタリング業者が現金で買い取るという、個人の方が手軽に素早く現金を調達するための新しいサービスのことです。
給料ファクタリングという一見スマートな言葉や給料債権の買い取り=借金ではないという謳い文句から気軽な気持ちで利用してしまった結果、ファクタリング業者へ給与全額を支払わなければならなくなり、資金繰りがより困難となってしまう方が最近増えてきています。

2.給料ファクタリングの実態は?

給料ファクタリングの取引の流れは以下のような流れです。

① 給料ファクタリング業者と給料債権の譲渡(売買)契約
② 査定等の名目で、給料満額から一定額を差し引いた金銭を交付
③ 給料日に給料満額を支払って給料債権を買い戻し

一見すると給料債権を売買しているだけで、問題のある取引のようには見えないかもしれませんが、大きな問題が二つあります。

①給与債権の譲渡は形だけ(実態はただの借金
 →当事者間で給与債権を譲渡する契約をしたとしても、会社は労働者に直接給与を支払わなければなりません。(労働基準法第24条)
その上で、給与債権を持っている業者は一旦給与を受け取った利用者自身から会社の代わりに弁済を受けるという形になるため、実質的にはただの借金と変わりありません。

② 手数料が差し引かれる。(実体はただの違法な高金利
  →「無利息」と謳っていますが、例えば7万円の給料債権を4万円で買い取るなど、実質的には年利換算すると数百%~1000%を超える超高金利(手数料等)を払わなければなりません。

このように給料ファクタリングは貸金業法や出資法に違反したヤミ金による高利貸しではないかと問題視されるようになりました。

3.金融庁が貸金業であると認定

今年の3月5日付で金融庁から「金融庁における一般的な法令解約に係る書面照会手続(回答書)」が公開されました。そこでは、
「照会にかかるスキームにおいては、貸金債権の譲受人から労働者への金銭の交付だけでなく、貸金債権の譲受人による労働者からの資金の回収を含めた資金移転のシステムが構築されているということができ、当該スキームは、経済的に貸付け(金銭の交付と返還の約束が行われているもの。)と同様の機能を有しているものと考えられることから、貸金業法第2条第1項の「手形の割引、売渡担保そのたこれらに類する方法」に該当すると考えられる」と、「貸金業」に該当する旨の見解が示されました。

本来であれば、「貸金業」を行うには登録を受けなければならず、①上限を超えた金利が無効となる利息制限法第1条(金額により年15-20%)、②刑事罰の対象となる上限金利を定めた出資法第5条第2項(年20%)の2つの法律で規制されることになります。しかし、給料ファクタリング業者は登録を受けていなかったり、実質的に上限金利を大きく超過した契約内容となっているなどの問題があります。

4.東京地方裁判所の判決

今年の3月24日、東京地方裁判所は給料ファクタリングに関する2つの裁判で、貸金業法、出資法違反で契約は無効、しかも刑事罰の対象となるとの判決を言い渡しました。
以下は判決の抜粋です。

「認定事実 (判決文抜粋)

給与ファクタリングの仕組みは,経済的には貸付による金銭の交付と返還の約束と同様の機能を有するものと認められ,本件取引における債権譲渡代金の交付は,「手形の割引,売渡担保その他これらに類する方法」による金銭の交付であり,貸金業法や出資法にいう「貸付け」に該当する。
そうすると,原告は,業として「貸付け」に該当する給与ファクタリング取引を行う者であるから,貸金業法にいう貸金業を営む者に当たる。
年850%を超える割合による利息の契約をしたと認められる(なお,これ以前に行われた取引の利率も,いずれも年700%を超えるものであり,前記1(3)の最初の取引に至っては,年1800%を超える利率となる。)。これは,貸金業法42条1項の定める年109.5%を大幅に超過するから,本件取引は同項により無効であると共に,出資法5条3項に違反し,刑事罰の対象となるものである。
したがって,原被告間の本件取引が有効であることを前提として,譲渡債権に係る給与を受領した被告に対して,債権譲渡の額面額を支払う合意の履行を求めたり,譲渡債権の額面額を不当に利得したとして不当利得の返還を求める原告の請求は,その前提を欠くものであって,理由がない。
年850%を超える利息の契約は,出資法5条3項に違反し,刑事罰の対象となる契約であるから,不法原因給付に該当し,いずれにしても,被告は交付を受けた金銭の返還義務を負わない。」

出典:給与ファクタリング判決・契約無効 – 日本ファクタリング業協会

5.まとめ

以上の通り、給料ファクタリングに関しては行政、司法共に違法性を認める見解を示した事例がありますが、あくまで個別での判断の段階であり、全ての給料ファクタリングが違法であると認められた段階ではありません。
ですが、今後の流れとしては法外な利息を搾取する給料ファクタリングに関しては規制されていくことになることは間違いないと思われます。
今現在、給料ファクタリングの支払いにお困りの方がいらっしゃいましたら、まずは身近な弁護士、司法書士等にご相談いただければ幸いです。
また新型コロナウイルスの影響等で資金繰りが厳しく、給料ファクタリングの利用を検討されている方がいらっしゃいましたら、そのような方々を支援する様々な制度が用意されていますので、国や都道府県の支援策を利用することも検討してみてください。
最後になりますが、参考までに経済産業省の支援策がまとまっているHPをご紹介させていただきます。
参考:新型コロナウイルス感染症関連 (METI/経済産業省)

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