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選択的夫婦別姓


昨年12月9日、事実婚の夫婦が別姓の婚姻届を受理するよう自治体側に求めた3件の家事審判の特別抗告審について、最高裁判所の15人の裁判官全員による大法廷で審理されることが決まりました。大法廷では5年前に、「別姓を認めない民法の規定は憲法に違反しない」とする判断を示していて、再び憲法判断することになりました。夫婦の姓についてみてみましょう。

1.夫婦の氏の歴史


明治9年(1876年)
 太政官指令で、妻の氏は「所生ノ氏」(実家の氏)を用いると定められました。
明治31年(1898年)
 「妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル」「戸主及ヒ家族ハ其家ノ氏ヲ称ス」
 旧民法において、夫婦は家制度のもと同じ氏を称すると定められました。
昭和22年(1947年)
 改正民法において、夫婦は婚姻の際に夫又は妻の氏を称すると定められました。

2.旧姓の使用


女性の社会進出や晩婚化に伴い、戸籍姓が変わっても、それまでの信用・実績・関係を維持するため、旧姓を継続使用する女性が増加しています。

登記実務においては、2015年に会社の登記に記載される役員等の氏名につき旧姓を併記することが認められました。役員等は戸籍上の氏で登記しなければならないため、当該会社の登記簿を見たときに、仕事で旧姓を使用している役員が当該会社の登記簿上の役員かどうかを確認することができず、取引等に支障が出るおそれがあることが考慮されたことによります。

しかし、旧姓が使用できる場面が増加しても、旧姓と戸籍姓、2つの氏の使い分けが必要です。私自身もかつて仕事では旧姓を使用していましたが、仕事に必要な銀行口座を作成しようとしても、口座名義は戸籍姓しか認められませんでした。本人確認として提示する運転免許証ももちろん戸籍姓です(今では運転免許証やマイナンバーカード、住民票にも戸籍姓と旧姓を併記できるようになりました)。この口座や運転免許証を仕事で使用する際には、「仕事上の名前は旧姓です。結婚しましたので、戸籍上の名前がこちらになります」とその都度名義が違う理由を説明しなければなりませんでした。
パスポートにも旧姓併記が認められるようになりましたが、外国においては旧姓という制度自体が理解されにくい為、出入国の際に説明が求められたりします。
旧姓使用拡大を推進するのも大事ですが、このようにプライベートなことについての説明が必要なのが現状です。旧姓使用を拡大することでは、問題は解決しそうにありません。

3.海外では


海外では選択制や別姓制が一般的です。
【夫婦の氏に関する各国法制】

 (平成13年選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめより)

上記表で同氏制を定めているとされているトルコでは、現在法改正により別姓も認められるようになっています。法律によって夫婦同姓を規定しているのは、先進国では日本だけです。国連は夫婦別姓を認めない日本の民法規定が差別的であるとして2003年、2009年、2016年と3度も勧告しています。

4.国内の動き

 (2017年内閣府家族の法制に関する世論調査より)


日本経済新聞社が2019年、働く女性2000人に聞いた調査では、選択的夫婦別姓の導入に74.1%が賛成との回答がありました。実際に姓を改めるのは女性の方が多く、全体の96%に上っていることから、女性において賛成の比率が高くなっているのでしょう。

ところが、世論の動向とは逆に、昨年12月25日に閣議決定された2021年度からの5年間の女性政策に関する目標や施策について定めた第5次男女共同参画基本計画では、「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方に関し、更なる検討を進める」という表現にとどまり、現在の4次計画にあった「選択的夫婦別氏制度」という言葉が消えてしまいました。

5.まとめ


男女雇用機会均等法施行から30年以上経ち、働く女性が増えました。夫婦共働き家庭の割合が専業主婦家庭の割合を上回っている現在、夫婦別姓とするニーズが高まっております。
「家族の絆が感じられるから夫婦同姓の方がいい」という人は同姓を選択し、「夫婦互いの姓を尊重したいから夫婦別姓の方がいい」という人は別姓を選択できるのが、選択的夫婦別姓制度です。
国会での議論が停滞している中、冒頭に掲げた最高裁判所の判断が注目されています。

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