メニュー 閉じる

「節税のために法人を作るなら、株式会社?合同会社?」株式会社と合同会社のメリット、デメリット


1.法人を作ることで節税ができる

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除され、少しずつ経済活動が再開されてきています。ただでさえコロナショックで経営する会社の売上が下がったり、ボーナスがカットされたりと、懐に余裕がない中で、税金はできるだけ払いたくないですよね。

そこで、個人で事業をされている人であれば、法人を設立し、事業を法人化することにより、消費税を免税できたり、繰越控除可能期間を長く取れたりと、多くの節税メリットをうけることができる可能性があります。

ただ、一言で法人を作るといってもどのような法人を作れば自分のビジネスに合っているのか、どれくらい費用がかかるのか分からなければ、雲をつかむような話になってしまいますよね。法人の種類を株式会社、合同会社に絞って、詳細について解説していきます。

2.株式会社と合同会社のイニシャルコスト

 法人を設立する際のイニシャルコストとは、設立に必要な①定款の作成、②定款の認証、③設立登記をするために必要なコストであると考えてもらえればいいかと思います。先に結論を言ってしまうと、ご自身で①~③の作業を全て行った場合、イニシャルコストは株式会社の場合は24万円ほど、合同会社の場合は6万円ほどになります。我々のような司法書士に頼んだ場合には、株式会社の場合で30万円ほど、合同会社の場合で12万円ほどになります。

もちろん、一般的にこのような金額になることが多いというだけで、規模感や複雑さによって、変動することはありますが、資本金を1,000万円以下で設立した場合は概ねこれくらいの金額になるかと思います。この費用の内訳について詳しくみていきましょう。
 実は法人設立に必要な①~③の作業の中で必ずコストがかかってくるのは③の設立登記だけで、①②はコストをかけないようにすることも可能です。
 まず①ですが、この作業自体には税金等の費用は一切かかりません。単純にご自身のパソコンのWordなどで、文言を作成するだけです。もちろん、司法書士等の専門家に依頼すれば報酬が発生しますが、ご自身で行えば1円もかかりません。
 次に②ですが、これは株式会社と合同会社で異なります。株式会社の場合は①で作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があり、この認証の手続きに9万円※1ほどかかります。一方、合同会社の場合は定款の認証自体が必要ありません。したがって、法人の種類で合同会社を選択すれば、②の費用をかけないようにすることが可能です。
 最後に③ですが、こちらは株式会社でも合同会社でも必ず費用は発生しますのが、両者で金額が異なります。株式会社の場合、設立登記をする際に税金として最低でも15万円かかります。これに対して、合同会社の税金は6万円です。ただし、この税金は原則として資本金の額に応じて決まりますので、資本金を1,000万円以上にして設立する場合は、注意しましょう。基本的な税金の計算方法は下記のとおりです。

資本金の額×0.7%(ただし、株式会社の場合は15万円、合同会社の場合は6万円が最低額)

 なお、今は資本金の額に下限はなく、極端な話、資本金を1円にして設立することもできます。資本金の額は、その会社の信用力(与信)の意味で重要ですが、個人投資家が設立する資産管理法人などでは、資本金は10万円~100万円ほどにする人が多く、この程度の資本金でも、ビジネスをする上での不都合はほとんどないかと思いますし、金融機関から借り入れをする際にマイナスとなることもほぼないかと思います。

さすがに資本金1円ですと、信用力としてはよくないかもしれませんが、不必要に資本金を大きくしてしまいますと、イニシャルコストだけではなく、法人税等のランニングコストの面でも不利となりますので、慎重に判断した方がいいかと思います。
 ここまで説明したイニシャルコストをまとめると下記のようになります。司法書士報酬は事務所によって異なりますので、下記の表は弊社の基準報酬で記載していますが、司法書士であればそこまで大きくは変わらないと思います。

 

定款の作成 定款の認証 設立登記 ご自身で手続きした場合の合計 司法書士に依頼した場合の合計
株式会社 実費 0円 9万円(司法書士に依頼すると5万円)※1 最低15万円 最低24万円 最低30万円ほど
司法書士報酬 10万円ほど
合同会社 実費 0円 0円 最低6万円 最低6万円 最低12万円ほど
司法書士報酬 6万円ほど 6万円 12万円ほど

※1 電子認証をすれば印紙代4万円がかからなくなりますが、電子認証をするためのシステムの導入に相当費用がかかります。弊社のような司法書士法人であれば当然電子認証いたしますので、印紙代4万円はかかりません。

3.株式会社と合同会社の違い

 ここまで、株式会社と合同会社のイニシャルコストの話をしてきましたが、コスト面だけで見れば合同会社の方が有利です。税金面だけでなく、定款認証がない分、司法書士の報酬も安くなりますので、司法書士に依頼した場合は、株式会社に比べトータルで15万円以上コストを抑えることができます。

ただし、株式会社と合同会社では、その生い立ちや構造の違いから、合うビジネス、合わないビジネスがありますので、ご自身のビジネスと照らし合わせて、考える必要があります。ここからは、そういった両者の違いについて解説していきます。


【知名度の違い】
 日本で最もメジャーな法人の形態が株式会社です。最近ではかなり知名度もあがってきている合同会社ですが、株式会社に比べるとまだまだ馴染みのない人も多いのが実情です。やはり、知名度が高いというだけで安心感がありますし、ブランディングにおいても有利に働くかと思います。

アップルやグーグル、西友などが合同会社を選択しているのは有名な話ですが、逆に、これらの大企業は会社形態の知名度を気にする必要がないくらい既に信用力があるため参考にはならないでしょう。

ただ、この知名度によって金融機関からの融資にマイナスな影響があるかで言うと、私の経験上はないと言っていいと思います。金融機関は会社を評価するプロなので、「合同会社だとなんとなく信用できない」といった曖昧な理由で評価をすることはないからです。


【流通性の違い】
 株式会社と合同会社では会社の所有権の流通性が異なります。株式会社は会社の所有権(株主)と経営権(取締役等の役員)が完全に分離されていますので、基本的に所有権は頻繁に流通することが前提に設計されています。小規模な会社ですと、社長が一人株主となっている会社がほとんどですが、ある程度会社規模が大きくなってくると、第三者から出資をうけて株式を割り当てたりしますし、IPO(新規公開株)を目指すベンチャー企業などですと、初期段階から大勢の人から出資を受けて会社を運営するケースもあると思います。

このような企業形態の場合は、高い流通性を持つ株式の方が適していると言えます。
実は合同会社であっても、経営権と会社持分を分離し、持分を譲渡することは可能ですが、仕組みが複雑になり分かりづらいですし、会社規模が大きくなっても証券市場に上場させることはできません。そもそも合同会社は、会社の所有権と経営権が社員という立場に集約されており、所有権のみを市場に流通させるという設計になっていませんので、排他的な組織に向いているといえます。

【会社組織の自由度の違い】
 会社の組織構造は各々の会社の定款で細かく規定されており、これを基に会社を運営することになりますが、株式会社は、組織構造やルールが会社法にきめ細かく規定されており、独自の構造にすることや、ルールを決めることは相当限定されます。つまり、定款の内容も自由に変更できる箇所は少なく、どの会社も、大きく変わることはありません。
 それに対して合同会社の場合は、ほとんどのルールが定款に定めを置くことにより変更することが可能です。つまり、企業形態に応じて自由に組織構造をデザインすることが可能なのです。

例えば、会社法には「会社と役員個人が直接取引をする場合は、株主(合同会社の場合は社員)から承認を得なければならない」という利益相反に関する規定がありますが、合同会社の場合は、この承認を不要とする定款の定めを置くことができます。

つまり、家族経営の会社で代表者が父親になっている場合に、父親が利益相反行為をした場合、合同会社であれば、いちいち家族の承認を得なくても手続きをすすめることができますが、株式会社の場合は、必ず株主総会又は取締役会で承認を得る必要があるのです。

4.株式会社と合同会社の設立の手続き

 株式会社と合同会社で設立の手続きの流れはそこまで大きく変わりません。株式会社は定款の認証が必要なので、その分プロセスが1つ増えますが、その他は概ね同じです。設立の流れの概略は下記のとおりです。
①定款内容の決定(会社名、本店、目的等を決める)
②定款の認証(合同会社の場合は不要)
③出資金の払込み
④会社の実印を準備する
⑤設立登記に必要な書類を準備する(印鑑証明や法務局に提出する決定書など)
⑥設立登記申請
⑦設立登記完了後に税務署等に各種届出
 仮に弊社で設立の登記を受任した場合、①の定款内容の決定ができてから、⑥の設立登記申請まで概ね1週間ほどかかります(急いでいる方の場合は2,3日で申請する場合もあります)。さらに、登記を申請してから法務局で登記が完了するまで、さらに3営業日から1週間ほど時間がかかります。そして、この登記の完了をもって、会社が設立したことになります。
 弊社に会社の設立を依頼される方で、急いで法人名義の銀行口座を開設したいという方がよくいらっしゃいますが、銀行で口座を開設するためには、会社の謄本や印鑑証明などのエビデンスの提出が必要であり、これらの書類は登記が完了してからでないと取得する事ができません。

したがって、ご相談をいただいてから、⑥の登記申請まで大急ぎで1週間でやったとしても、登記が完了するまでさらに1週間ほど待つ必要があり、加えて、最近では銀行で法人口座を開設するのはマネーロンダリング防止の観点から非常に時間がかかるケースが多いので、開設まで1ヵ月程度かかる銀行もあります。
 専門家である我々であってもこれくらい時間がかかりますので、ご自身で全て手続きを行う場合にはもっと時間がかかると思っていただいた方がいいかと思います。したがって、できるだけ早く準備を進めることをお勧めいたします。

5.結局どちらがいいのか

 ここまで様々な観点で株式会社と合同会社の違いについて見てきましたが、どちらの法人を選択するかは、やはりどのような目的で、そして、どのような会社にしたいのかによると思います。

例えば、本業はサラリーマンをやっているが、投資活動で使う法人が必要な方であれば、知名度や流通性よりも、コスト面や家族経営のしやすさの方が重要になると思いますので合同会社が向いているかもしれませんし、父親から引き継いだ事業を拡大させるため、法人化したいという方であれば、イニシャルコストを気にするよりも、知名度などのブランディングに重きをおいて株式会社にすべきかもしれません。
 もちろん、一度合同会社で設立した法人を株式会社に変更したり、その逆のことをすることもできますが、新たに会社を設立する以上のコストがかかってしまうケースが多いので、最初の法人形態の選択は重要です。ご自身のビジネスに合った法人を作って、賢く節税していきましょう。

2件のコメント

  1. 鷲見英穂

    現在個人事業主でマンション一棟を複数件所有しています。またサラリーマンでもあります。もし妻の社長名でマンション管理の合同会社あるいは株式会社を設立する場合、どの様な方法が税金上有利なのでしょうか?

    • 司法書士:重光

      コメントありがとうございます。
      レスポンスが遅くなり申し訳ございません。
      税務上のメリットについて判断するには本業の収入や、保有マンションの収益のボリュームによる個人の所得税の税率を考慮する必要があります。
      また、奥様が働かれている場合は奥様のご収入についても考慮する必要があります。
      一般的な話として考えるなら、イニシャルコストが安い合同会社を奥様を役員にする形で設立して、不動産の名義は個人のままで、管理委託契約を個人法人間で締結し、管理費を法人に支払うことによって節税する方法が無難かなと思います。
      ただ、例えば個人の所得税率が最高税率になっているような場合では、管理費を払うだけではあまりメリットがないので、新設法人に不動産を売る方法も考えられますが、不動産の名義を変える場合は、不動産取得税、登録免許税、消費税など、そこそこの費用がかかってきますので、慎重にご検討していただいた方がいいかと思います。
      顧問税理士がいる場合は上記の内容を税理士に相談して決めるのがいいと思いますが、このような事案に強い弊社のパートナー税理士に無料相談することも可能です。
      ご検討の程、宜しくお願い致します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です
お名前は公開されますので、ハンドルネームをご使用ください。

いただいたコメントは担当者より返信させていただきますが、最長で一週間程度お待ちいただく場合がございます。