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遺言書作成の際には要注意?遺留分とは?


1.遺留分とは?


遺留分という言葉を目にしたことはありますでしょうか?
 あまり見慣れない言葉かもしれませんが、遺言書で遺贈や相続分を指定する場合に注意しておかないと後々問題となりかねない非常に重要なものになります。
 遺留分とは、”被相続人の近親者が有する遺産に対する取得権であって、当該近親者に遺留(確保)されており、遺言、遺贈又は死因贈与によって奪うことができないもの (Wikipedia引用)”をいいます。近親者とは、法定相続人のうち配偶者・子・直系尊属が該当します。兄弟姉妹には遺留分は認められません。
 遺留分の具体的な割合は民法で定められています。
“民法 第1042条 第1項
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一”
 少し分かりにくいかもしれませんが、法定相続人の法定相続分に上記で定められた割合を乗じたものが、各相続人の遺留分割合ということになります。
 例えば、子供2人と配偶者1人が相続人の場合、各々の遺留分割合は下記のようになります。  ・子供:1/4(法定相続分) × 1/2 = 1/8
 ・配偶者:1/2(法定相続分)× 1/2 = 1/4  各相続人の遺留分割合は、法律によって保障された、相続人による遺産分割協議はもちろんのこと被相続人の意思による遺言、遺贈又は死因贈与によっても”奪うことができないもの”になります。

2.遺留分を算定するための財産の対象は?


 次に遺留分を算定するための財産の対象ですが、こちらも法律で定めされています。
“民法 第1043条 第1項
遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。”
“民法 第1044条 第1項
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。”
 相続開始時に有する財産はもちろんのこと、遺言による贈与(遺贈)財産及び相続開始前の一年間(遺留分権利者に損害を与える意図のものはそれ以前も)にした贈与財産も含まれます。
 具体的には、長男Aに1億円の不動産、次男Bに2,000万円の預金を相続させる旨の遺言をした場合、次男Bの遺留分及び遺留分侵害額(遺留分権利者の損害額)は次のように算定されます。

次男Bの遺留分:(1億円+2,000万円) × 1/2 × 1/2 = 3,000万円
次男Bの遺留分侵害額:3,000万円 - 2,000万円 =1,000万円
 
 この場合、次男Bの遺留分は1,000万円分侵害されたことになり、その侵害額に相当する遺留分侵害請求権を有することになります。

3.遺留分侵害請求権とは?


 それでは遺留分侵害請求権とはなんでしょうか?
 こちらも法律で定められています。
“民法 第1046条 第1項
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ)。又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる。”
 “遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求”、つまり先ほどの例で言えば、次男Bは長男Aに対して、1,000万円支払えという権利(金銭債権)をがあるということです。
 いかがでしょうか?あなたが長男Aだった場合、1,000万円というお金を払えと言われて簡単に支払うことができるでしょうか?一般的にはなかなか難しいのではないでしょうか。
 この遺留分に関する法律は2019年7月に改正があり、以前は遺留分減殺請求権と呼ばれていました。その権利を行使するとその価額に応じて当然に共有関係になることとされていました。共有関係とは、その財産が不動産であれば長男Aと次男Bが共に所有するということです。そうなると長男Aだけで自由に不動産を活用することができず、せっかくその不動産を長男Aに相続させた被相続人の意思が尊重されないという不都合がありました。
 そこで、法律の改正に遺留分侵害請求権という金銭債権に改められたのですが、遺留分侵害額によっては簡単に支払うことができないことが予想されます。簡単に支払う事ができない場合に備えた条文もあるのですが、「裁判所は、・・・支払いにつき相当の期限を許与することができる。」と支払いに猶予を与えるに留まります。そのため、遺言で遺贈や相続分の指定をする場合には、遺留分を侵害する内容になっていないかを留意して作成することが非常に重要になります。
 

4.まとめ


 遺留分とは法定相続人に一定の保護を与えるというとても意義深いものではありますが、それゆえにその権利が侵害された場合に有する遺留分侵害請求権もとても強力なものになります。あなたが自らの意思で、みずからの財産を有効に活用してほしいと遺言を残したとしても遺留分を侵害してしまっていた場合には、その想いが実現されないというリスクを有することになっていまいます。
 せっかく作成する遺言書ですので、あなたの想いが確実に次の世代に伝わるものにしたいですよね。我々司法書士は安全、確実な遺言書作成のお手伝いが可能です。遺言書作成の際にはぜひご相談ください。
 なお、遺留分侵害請求に関しては、請求先の優先順位や期間の制限に関しても法定されていますが、話が細かくなってしまうので、またの機会とさせていただきます。
 ご拝読ありがとうございました。

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