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相続登記の義務化


1.相続登記の義務化の必要性

民法・不動産登記法部会第11回会議(令和1年12月3日開催)において,「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」が取りまとめられました。
その中で、「相続登記の義務化」についても議論されています。

なぜ、相続登記の義務化の必要性が検討されているのでしょうか?
これには、いわゆる空き家問題と、土地の利用阻害問題があります。

総務省の平成30年住宅・土地統計調査の結果によると、空き家数は849万戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めていることが分かりました。管理が行き届いていない空き家が、防災、衛生、景観等の面で悪影響及ぼすという社会問題が起きています。

また、法務省は所有者不明となっている可能性がある土地について、自然人名義の所有権の登記がいつされたのかという方法により調査しました。最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが大都市地域において6.6%、中小都市・中山間地域において26.6%となっていることが分かりました。
面積にすると410万ヘクタールという九州を上回る大きさとなっており、所有者不明の土地は利用が阻害されるため、社会経済上の損失となっています。

このようなことを理由に相続登記の義務化が検討されているのです。

不動産を相続により取得した相続人は、所定の期間内に相続登記しなければならないとする相続登記の義務化にあたっては、様々なことが議論されています。

2.「相続人申告登記(仮称)」の創設


相続登記の期限を設けることによって、遺産分割協議が整わない等の理由で期限に間に合わない場合もあるでしょう。そのような場合は、最終的な相続登記は改めて申請するけれども、期限内に相続が発生しているとい報告的な登記をすることでよいとするものです。
法定相続人は、所有権の登記名義人について相続が開始したこと、その登記名義人の法定相続人であることを申し出るという内容の登記です。

3.相続の発生を法務局が知るための仕組みの創設


所有権の登記名義人となる人について、現状は登記事項となる住所氏名の情報を提出すればたりますが、これら情報の他、生年月日や本籍地等の情報も提出するものとして、氏名及び住所以外の情報は登記記録上に公示せず、内部において保持するデータとして保存しようとするものです。
登記官は,提供された情報を検索キーとして,連携先システムに定期的に照会を行うなどして登記名義人の死亡の事実を把握しようとすることが検討されています。
照会の結果、登記名義人の死亡の事実を把握した場合には、その相続人に対して相続登記の申請をする必要があることを知らせる観点から、登記名義人の最後の住所宛に相続登記を促す旨の通知を送付するものとすることも検討されています。

4.放棄


現行制度では、土地を手放すためには、相続時に相続財産のすべてを手放す相続放棄の制度を用いて権利を放棄するか、その土地を誰かに売買するか贈与して権利を移転する方法しかありません。そこで、国の行政機関が審査し、この機関が権利の放棄を認可することにより、特定の土地だけを放棄し、最終的には国の所有とする制度を新たに設ける議論がなされています。

5.罰則


不動産を相続により取得した相続人が、所定の期間内に相続登記の申請をしなかったときは一定の額の過料に処する旨を設けることが検討されています。
なお、過料とは、金銭支払いを要求する行政罰です。刑罰とは違うため金銭の支払いを命じられるものの前科はつきません。
現状、不動産登記においては、表示の登記において登記をしなかった場合に10万円以下の過料に処するという規定があります。相続登記にも同様に10万程度の過料が課されたとしても、専門家に依頼する方が高くなり、実行性に欠けるとの意見があります。罰則規定を設けるよりも、期限内に相続登記を申請した場合に登録免許税などの税制上の優遇措置を設ける方がいいとの意見もあります。

6.まとめ

今年秋の国会で、民法や不動産登記法の改正案が提出される予定です。早ければ令和3年おそくとも令和4年には相続登記が義務化されることになりそうです。
なお、法律施行時にすでに所有権の登記名義人が死亡している不動産については、施行後一定期間は適用を留保することや、数次相続が発生している場合等は登記申請をすべき期間をより長期間のものとすることなども検討されていますが、義務化される方向で進んでいます。

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