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オタクの終活


こんにちは。スタッフの吉田です。
突然ではありますが、先日故郷の父より


「この前家の大掃除したんだが……お前の部屋の押入れのダンボール箱な……中身を母さんに見られる前にこっそり捨てておいたぞ」


等と大変気まずそうに連絡がありました。

私はハッとしました。

ええ、ダンボール箱の中身は私が中学生の頃に集めたオタクグッズです。
実家を離れる時にどうにも捨てる決心がつかず、ダンボール箱に入れて封印していたものが10年の時を経て危うく白日の下に晒される危機だったのです。

間一髪、母に見られる前に処分してくれた父には感謝してもしきれません……が! はたして危機はこれで去ったと言えるのでしょうか!? 今私にもしもの事があったら、今度こそ最悪の事態が引き起こされてしまうのではないでしょうか!?

全国のオタクの皆さん! 自分の死後の事を考えたことはありますか!?
今日は「オタクの終活」について語らせていただきたいと思います。

1.貴重なコレクションの整理


 物の価値というものは、それを見る人によって変わるものです。
 かの国民的猫型ロボットの『ドラえもん』も「ダイヤモンドだって誰も欲しがらなければ石ころに過ぎない」という名言を残しています。
 もしもそれがマニアックなコレクションならば尚の事。


 一例を上げるならば……こちらのカード。一見するとカードゲームのカードですが、なんとこの一枚だけで日本円にして1800万円以上の値段で取引されました。

出典:https://gigazine.net/news/20190306-magic-gathering-black-lotus/


 流石にこれはちょっと極端な例ですが、ちょっとしたプレミアがつくようなあなたの秘蔵のコレクションもご遺族に詳しい方がいらっしゃらない場合、良くてリサイクルショップで二束三文で売られたり、最悪の場合財産価値のないゴミとして捨てられてしまうかもしれません。
 そんなことになれば残されたご遺族にとって経済的にマイナスなのは勿論、あなたが愛する趣味の界隈にとっても大きな損失となってしまいます。

 かと言って、生前から「このコレクションには○○万円の価値があるから私が死んでも捨てないで!」なんて……白い目で見られてしまいそうでちょっと言いにくいですよね。

そんな時に役に立つのが「遺言」です。
遺言というと財産を持った人が、遺族の遺産争いを防ぐために遺すようなイメージが一般的かと思いますが、実は遺言書に記載できる事項は民法によって定められており「財産を誰にあげるか」だけでなく実に様々な事項を記載する事ができるのです。
今回のケースでは「遺産分割方法の指定」(民法908条)に注目してみましょう。

民法第908条 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

遺産の分割の方法、つまり「私のコレクションは〇〇という業者で売却し、その代金を相続人で平等に分けてください」というように、そのコレクションの市場価格を理解している専門業者を指定して正当な価格で買い取ってもらい、その代金を遺族の方へ遺す事が可能なのです。
これならば遺族の方にちゃんとお金を遺せますし、あなたの貴重なコレクションは中古市場に流れ、大切にしてくれる愛好家の方の手に渡る事でしょう。

2.オタク仲間への連絡


 何もオタクの方に限った話ではありませんが、今はインターネットで同好の士との繋がりを持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
 SNSというものも普及から随分と長い年月が経ち、中には「小中高一緒だった地元の友達よりもSNSの知り合いの方が長い年数交流を持っている」なんてケースも珍しくはありません。


 しかし、深い交流に反して現実世界での素性を中々知らないというのもネットの世界ではよくあること。お互いの好きなアニメやアイドルは知り尽くしているのに、実は本名すら知らない……という関係がほとんどなのではないでしょうか?
 そのような関係では、相手にもしもの事があったとしてもそれを知る術がありません。
 SNSアカウントに動きがなくなった後、「あの人最近見ないなぁ……」なんて仲間内で噂になるも誰一人故人のご家族との連絡を取ることもできず、一方のご家族の方はネット上で故人にそんな親しい友人が居たことも知らず……これはとても寂しい事だと思います。
 私も実は3.11の東日本大震災を境に連絡が途絶えてしまったSNS上の友人がおり、未だに彼との共通の趣味だった作品を見ると彼の事を思い出します。

 このケースでは「死後事務委任契約」の出番です。
これは読んで字の如く、自分が死亡した後の様々な事務を生きているうちに誰かに委任しておくという契約です。
 契約内容に「SNS上での死亡報告」を盛り込み、受任者に各SNSのIDとパスワードを伝えておくことで自分の死後、代わりにネット上の友人達へ告知をしてもらう事ができます。


もちろん家族にお願いすることも可能ですが、
 ・家族にはSNS上での自分を秘密にしておきたい。
 ・家族がパソコンに詳しくないのでちゃんとできるか心配。
 ・大切な人を失って落ち込んでいる家族にそこまでさせるのは忍びない。
などなど家族に頼みにくい場合は司法書士への委任も可能ですので是非ご相談ください。
(SNSのIDやパスワードを他人に教えるのはかなり抵抗があるかもしれませんが、司法書士ならば「守秘義務」があるため安心ですよ!)

3.見られたくないデジタル遺産の処分


 あなたのパソコンやスマートフォンの中には、家族には内緒にしておきたい秘密のデータがあるのではないでしょうか。
文字通り『墓場まで持っていきたい』データの数々……しかし、現実にはパソコンを抱えてお墓に入るわけには行きません。


しかも、ご遺族の方々はあなたの死後、故人の面影に少しでも触れたいと思って一生懸命にパソコン内のデータを解析しようとすることでしょう。
たとえパスワードをかけていたとしても、ご遺族の方が専門業者に持ち込まれればロックを解除されてしまうかもしれません。
そこまでされて、恥ずかしいデータでも見られようものならそれこそ『死んでも死にきれない』というものです。

そうならないためには先程の「死後事務委任契約」の出番です。
「死後、所有しているパソコンとスマートフォンのデータはすべて消去する」事を誰かに委任しておきましょう(こちらに関してはご家族ではなく司法書士にご依頼されるのがよろしいでしょう)。

ただし、ここで一点ご注意。
パソコンやスマートフォンは「遺産」に含まれますのでご遺族(相続人)に相続する権利があります。
万全を期すならば遺言に「パソコンやスマートフォンはデータをすべて消去した上で売却し、その代金を相続人に相続させる」という内容を記しておけば万全です。

ただ情報をすべて削除してしまうのはご遺族にとって寂しいと思いますので、ご遺族に遺しても構わないデータは別途他の場所にも保管しておいてあげると良いかもしれませんね。

4.まとめ


 このように、大切な『コレクション』『友人』そして『自身の名誉』を守るため、元気なうちに準備をしておくと安心なのが「遺言」と「死後事務委任契約」です。
 月並みではございますが、まだまだ早いと思っていてもいつその日がやってくるかは誰にもわからないものでございますので、早いうちに手を打っておけば自分の死後の事を気にすること無く、今生でのオタクライフをエンジョイできます。
両方とも司法書士であれば簡単に、丸ごとおまかせいただけます。
もちろんピークスでもご相談を受付させていただいておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

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